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福島県双葉郡に生花店 川内村・楢葉町・広野町で出張販売

楢葉町「ここなら笑店街」内「ブイチェーンネモト」で販売する福塚さん

楢葉町「ここなら笑店街」内「ブイチェーンネモト」で販売する福塚さん

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 福島県双葉郡に震災以降初となる生花店「Fuku Farming Flowers(フク・ファーミング・フラワーズ)」がオープンした。双葉郡川内村にアトリエを構え、昨年11月に同村の商業施設で、翌月には楢葉町、3月から広野町で出張販売を始めた。

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 経営するのは大阪府出身の福塚裕美子さん。21歳のとき生花店の仕事に魅了され、「いつか自分の店を持ちたい」と考えるように。夢を追いかけ、東京都内で仕事に打ち込んでいる時に東日本大震災が起きた。2011年8月、職場の友人が川内村出身だった縁で村を初めて訪れるが、そのときに見た光景が今も頭から離れない。「村の風景を取り戻す手伝いがしたい」一心で2012年5月、移住を決意。3年弱、村での農業支援に取り組んだ。移住して3年目には、村の人に教わりながら一人で米作りをするほどに。その頃の暮らしについて、「苦しいこともあったが、とにかく楽しかった」と振り返る。そう思うことができたのには、村民との交流も大きく影響している。「よそ者」だった福塚さんに、親身に寄り添ってくれる村民たちとの関係は「まるで家族のような距離感でとても心地よかった」と話す。

 生花店開店の夢をかなえるため一度は村を離れるも、他の土地で暮らしたからこそ「私が生きていきたい場所は川内村」との思いが募った。名古屋、ドイツ、東京での修業を経て、昨年夏、「第二の故郷」である村に帰り、店を始めることを決めた。現在は出張販売のほか、各地で花を使った出張教室を開いている。双葉郡唯一の生花店として、「避難指示が解除された地域の生活に最低限必要なものやサービスはそろいつつある。これからは日常が少し豊かになるものを提供したい」との思いを抱く。

 楢葉町での販売は毎週木曜日、笑ふるタウンならは内にある「ブイチェーンネモト」の一角で出店している。福塚さん自身が市場で選んできた色鮮やかな花々に、食料品などの買い物に訪れた客が足を止める。「花はいいね、と一言声を掛けられるだけでうれしい」と笑顔を見せる福塚さん。「今日は花を買いに来たの」と毎週の出店を楽しみに待っている客や、最近では花束やアレンジメントのオーダーも増えてきた。「1年目はとにかく知ってもらい、関わってもらう人を増やしたい」と、他町村での出店にも奔走。そのかいあって、3月には広野町にある「イオン広野店」での出店も始めた。

 現在は出店販売がメインだが、将来的には同村内に店を構えることを目標としている。「村内外から人を呼び込み、笑顔があふれる場所にしたい。花はその可能性を持っている」と力強く話す。

 「Fuku Farming Flowers」の出店日と場所は以下の通り。「複合商業施設YO-TASHI」(川内村大字下川内)=月曜12時~17時、笑みふるタウンここなら笑店街内「ブイチェーンネモト」(楢葉町大字北田)=木曜10時~16時、「イオン広野店」(広野町下北迫)=第1、3金曜11時~16時(いずれも出店日時の変更あり)。詳細はフェイスブックページで確認できる。花束、アレンジメントなどのオーダーも可能(完全予約制)。

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