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いわき出身の写真家・熊田さんが個展 福島在住ならではの視点大事に

自身の写真集「霞が晴れたら」を手にする熊田誠さん

自身の写真集「霞が晴れたら」を手にする熊田誠さん

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 いわき駅前のゲストハウスFARO iwaki(いわき市平三町目)で開催されている、同市出身、在住の写真家・熊田誠さんの写真展が最終日を迎えた。1ヵ月の開催期間中に、約600人が足を運んだ。東日本大震災から10年が経過した、2020年~2021年に福島県内各地で撮影した写真を展示しており、熊田さんは「福島県在住だからこそ撮影できた福島の『今の日常』を切り取った写真を、市内在住の人だけでなく、ゲストハウスを訪ねる県外の人たちにも見て、感じて欲しい」と話す。

来場者に展示写真の説明をする熊田さん

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 展示されている15点の写真は、熊田さんが3月に発行した写真集『霞が晴れたら』から選んだもの。市内の住宅メーカーに勤務する熊田さんは、社内のホームページやカタログの管理・運営を担当したことをきっかけに2018年ころから本格的に写真撮影を始めた。約2年の間に撮影した約5万点の中から50点を選び、写真集として自主出版した。

 撮影を始めて2年弱の熊田さんが写真集出版を決めたのは、撮影した写真をSNSで公開した際に寄せられた言葉がきっかけ。自身の暮らすいわき市や福島県内で釣りをしている人や盛り場などの何気ない日常へ驚きのコメントがついたことから、東日本大震災から10年経っているのにまだ福島は誤解されている、「霞がかかっている」ような状態なのではと感じたと言う。

 写真の技術をオンラインで学ぶ中、写真集を制作することを目標とする講座に出会い、2020年6月から2021年12月にかけて写真集用の写真を撮影。コロナ禍のため、撮影の際には車中泊、写真集の打ち合わせもほぼオンラインで行ったが、「福島の今を切り取る」ことに共感した、TOR DESIGN(トールデザイン・東京都杉並区)、山田写真製版所(富山県富山市)などのクリエイターの協力を得て、初の写真集を完成させた。

 「自身のなかでは慣れてしまった福島県に対する違和感を、震災10年を機に見つめ直し、福島に生まれ育ち、今も福島に暮らす立場だからこそ、写真を通して『福島の今』を発信していきたい」という熊田さん。写真集と写真展での収入は、すべていわき市内の文化財団・NPOに寄付し、「いわき市から文化を発信できる一助になりたい」と話す。

 写真集「霞が晴れたら」は、60ページB5サイズで、税込3,300円(送料200円)。限定300冊で、シリアルナンバー、直筆サイン入りで、熊田さんのオフィシャルECサイトから購入できる。

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