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大熊町に期間限定コーヒースタンド 交流施設のチャレンジショップ第1号として

roy' drinkの深澤諒さん

roy' drinkの深澤諒さん

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 10月20日に開館1周年を迎えた、大熊町交流ゾーン内の「linkる大熊(リンクルおおくま)」(双葉郡大熊町大川原南平)に、10月末まで期間限定のコーヒースタンド「roy’ drink(ロワズドリンク)」がオープンしている。運営するのは、2022年に同郡楢葉町に移住した深澤諒さん。自身で焙煎した豆を、注文を受けてから一杯ずつハンドドリップで提供する。

「roy' drink」のハンドドリップコーヒー

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 深澤さんは、秋田県秋田市出身。中学校時代に秋田県を一周、高校時代に日本一周、大学時代に世界一周をし、さまざまな地域を見てきた。大学時代は環境学を専攻し、理科の教師を目指していたが、「日本」で教師として働くにあたり、比較対象として「世界」を見る必要があると考え、世界一周を敢行したという。「人とコミュニケーションを取りながら関わっていくことが好き。結果として今は教師ではないけれど、店舗に立って販売しながらお客さんとの会話を通して思いを伝えられる今の環境も楽しんでいる」と話す。

 同郡に移住前は、同じ福島県会津地方、三島町の地域おこし協力隊として約2年間勤務。その際に出会った「コーヒー焙煎の師匠」のもと、コーヒーの勉強を始めた。現在も月に2回は片道約4時間かけて三島町に通い、コーヒーの焙煎を自ら行う。そのコーヒーを店舗やイベントなどで提供している。「コーヒーって『化学』の結晶だと思っていて、豆を挽いてからの時間、外気やお湯の温度などによって全く味が変わってしまうので、同じ味わいを提供できるように日々研究を続けている気持ち」と深澤さん。ただ、コーヒーだけにこだわっているわけではなく「コミュニケーションを取るツールとして、コーヒーを飲む場があればと思っている」そう。「自分はお酒が全く飲めないので、コーヒーが飲めない人とも楽しめるよう、メニューは工夫している」とも。

 コーヒー豆の種類は深澤さんがセレクト。メインはブラジル産で、それ以外の豆は数日ごとに変わる。スペシャリティコーヒーと呼ばれる、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別、品質管理が適正になされ、生産農家までさかのぼれる豆を使用しているとのこと。そこには「世界一周をする中で、日本だけにいると目に入らない自然の姿、そこに暮らす人たちの姿を見てきたので、なるべく顔の見えるような素材を扱いたい」という深澤さんの思いが込められている。コーヒー1杯350円~400円。カフェオレ400円、キャラメルカフェオレ450円、ジュースやモクテルなどノンアルコールドリンクは450円~500円で販売する。

 販売場所を提供する、大熊町の交流施設リンクル大熊は、起業や飲食店の開業を目指す人のために、業務用キッチンを備えたスタジオを「チャレンジショップ」として用意。1ヶ月1万円~1万5千円で利用でき、深澤さんはそのチャレンジショップ利用の第1号。同施設のスタッフは「深澤さんは、チャレンジショップだけでなく当施設のイベントにも積極的に参加して、お客さんとのコミュニケーションもとても大切にされる方なのでリピーターも多い。今後もどのように町に関わってもらえるのか楽しみ」と期待を寄せる。深澤さんも「縁があって移住してきた双葉郡だが、特にこの大熊町や隣の双葉町は『地域おこし』ではなくて『地域づくり』。これから街がつくられていく過程に自分も関わっていける、日本でも希少な地域。そこに立ち会えることはとても魅力的」と意気込む。

 深澤さんの「ロワズドリンク」の営業は、平日10時~14時。10月31日まで営業するほか、双葉郡近隣市町村のイベントにも出店していく予定。

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