南相馬市小高区でハンドメードのガラスアクセサリーを販売する「HARIOランプワークファクトリー小高」(以下、LWF小高)が2月、同区内の路面店から小高パイオニアヴィレッジ(小高区本町1)内に移転し営業を再開した。
LWF小高のランプワーカー、オリジナルのガラスアクセサリーも。
耐熱ガラスメーカーのHARIO(東京都中央区)が、ガラス工芸技術継承のため立ち上げたアクセサリーブランド「HARIOランプワークファクトリー」。LWF小高は2015年8月、同ブランドの生産拠点の一つとして設立された。HARIO本社からアクセサリーパーツとしてガラスを受注し、店内工房で制作したものを納品する。商品になったガラスアクセサリーは全国で販売される。
LWF小高が設立された当時の小高区は原発事故による避難指示区域に指定されており、女性が働く姿や場所はほとんど無かった。LWF小高を運営する小高ワーカーズベース代表の和田智行さんは避難指示解除後、同区に若い人たち、特に女性が戻ってくるきっかけとして、働きたいと思えるような仕事が必要だと考え、同工房を東京から誘致。求人には予想を上回る応募があり、現在は同市内に暮らす主婦5人が働いている。
ガラス工芸に関しては全員が初心者。ランプワーカーと呼ばれる彼女たちは、バーナーとピンセットを使って手作業でガラスを加工していく。高いクオリティーや技術を求められる余り、くじけそうになったこともあったという。「自分としては頑張って作ったものでも、作り直しを依頼されることもある。辞めようかと思ったこともあったが、仲間の存在で続けられた」とランプワーカーの和田昌子さんはほほ笑む。
ランプワーカーとして約2年のキャリアを積んだ女性たちはHARIOからの受注に加え、オリジナルデザインのガラスアクセサリーも制作するようになった。ランプワーカーの岡本さんと三浦さんは「技術を磨いて、ゆくゆくはランプワーカーのみで生計を成り立たせたい。HARIOから受注したものを作るだけではなく、自分で思い描くままにデザイン、制作したものを販売して自立していきたい」と意気込みを見せる。工房で作られたオリジナルアクセサリーは同店で販売するほか、地元のイベントに出店することもある。
移転後は工房のレイアウトを変更し、製作部分と販売部分が融合し作業も販売もしやすくなったという。店内ではガラスアクセサリーの販売のほか、製作工程の見学やガラス工芸体験も行っている(要予約)。営業時間は、月曜から金曜の10時~18時。土曜、日曜、祝日は定休日。詳しくはホームページで確認できる。