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白崎映美さん主演の朗読劇、オリンピック開催時期に合わせて福島、東北公演

作品の原風景となった、浪江町の「更地」に立つ、白崎映美さん(中央)、演出の林周一さん(左)、土地の所有者の今野さん(右)

作品の原風景となった、浪江町の「更地」に立つ、白崎映美さん(中央)、演出の林周一さん(左)、土地の所有者の今野さん(右)

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 歌手で上々颱風(シャンシャンタイフーン)メンバーの白崎映美さん主演、演劇集団「風煉ダンス」林周一さん演出の朗読劇とライブ「まつろわぬ民2021 更地のうた」が7月25日、始まった。東北に思いを寄せてほしいと、「復興五輪」をうたったオリンピック開催期間に合わせ、福島、山形、宮城の東北3県を回る。

東北公演初日、いわき公演のライブの様子

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 朗読劇とミニライブで構成される本公演は、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故から10年たった福島県浜通り(原発が立地する沿岸地域)の現状に着想を得て制作された。山形県酒田市出身の白崎さんは、震災発生からすぐに、東北ゆかりのミュージシャンやアーティストと共にバンド活動を開始。「白崎映美&東北6県ろ~るショー!!」として、各地でライブ活動を行っている。白崎さんの活動を知った林さんは2014(平成26)年に、白崎さんを主演に音楽劇「まつろわぬ民」を制作。2017(平成28)年には福島県いわき市でも上演した。

 「まつろわぬ民2021 更地のうた」は、今年4月に東京で開催された美術展「もやい展 2021 東京」で上演するために制作された。「まつろわぬ民2018」最終公演から2年以上が経過していたため、制作にあたり林さんと白崎さんは福島県浪江町などを訪問。浪江町の町中と帰還困難区域に実家がある町民から案内を受けながら、東日本大震災と福島第一原発事故から10年が経過した街並みを視察した。演出の林さんは「前作までの『まつろわぬ民』は、津波や地震で生まれた『がれき』や住民の思いを『ゴミ屋敷に宿る怨念』として大掛かりなセットを使って表現したが、10年たった今は『ゴミ屋敷』すら無くなって、更地が広がっていた。そこに立ち尽くす町民の姿と、白崎さん演じる登場人物の姿が重なり、朗読劇『更地のうた』のモチーフとなった」と話す。「ただこの作品を通して伝えたいのは、福島や被災地に固執したことではなく、理不尽な現実に直面しても、背後には必ず誰かがいる、一人じゃない、忘れられていない、そういったことを届けられたらと思っている」とも。

 公演では、「白崎映美&東北6県ろ~るショー!!」の新作で、福島をテーマにした3曲入りのCD「更地のうた」(1,000円)と、「まつろわぬ民2018八戸版」(八戸公演)のDVD(4,000円)も先行販売する。劇中で歌われる「更地のうた」を作詞した白崎さんは「こっちさ来たら、言葉が出ないっていうか…一見すごくのどかで美しい景色だけど、人間が住むことができない土地という現実に立ち尽くしてしまった。実際に来なければわからなかった、感じられなかったことを、悩み苦しみながら私なりに出てきた言葉を紡いだ」と東北訛りを交えて話す。「(公演に足を運ぶことで)少しでもゆっくりできたり、一瞬日常を忘れることができたり、ゆっくり思いをはせる時間になったり、そういう時間を提供したい」と笑顔を見せる。

 27日=いわき湯本温泉古滝屋(福島)、28日=南相馬市民文化会館ゆめはっと(福島)、30日=郡山市中央公民館(福島)、31日=とうほう・みんなの文化センター(福島)、8月1日=東ソーアリーナ(山形)、3日=せんだい演劇工房10-BOX 1(宮城)、4日=ラ・ストラーダ(宮城)の7カ所、10公演。前売り=3,000円(学生1,000円)、当日=3,500円(学生1,200円)。問い合わせはマルメロ(TEL 03‐5627‐7583)まで。

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