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福島県双葉町の盆踊り、いわきの復興団地で開催 櫓の共演も

櫓で応援演奏する、夢ふたば人の中谷さん(中央)と、指揮する標葉せんだん太鼓保存会の横山さん(右)。

櫓で応援演奏する、夢ふたば人の中谷さん(中央)と、指揮する標葉せんだん太鼓保存会の横山さん(右)。

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 東日本大震災後8回目となる双葉町の盆踊り大会が8月10日、いわき市の勿来酒井(なこそさかい)団地(いわき市勿来町酒井青柳)で開催された。主催は「夢ふたば人(びと)」。復興公営住宅である同団地の住民をはじめ、県内外の避難先から来場した町民らが踊りや交流を楽しんだ。

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 「第8回夢ふたば人 盆踊り大会」と題した当日は、9つの行政区の芸能保存会らが、交代で太鼓や笛、歌で盆踊りを演奏。遠方への避難や担い手不足により演者が足りない団体にはほかの地区の団体が協力。演奏時間は2時間以上に及んだ。主催した「夢ふたば人」代表の中谷祥久さんは「(避難先では練習できず)1年に1回しか演奏できないので演奏後は相当疲れるが、楽しい。団地の入居者が増えたこともあり、昨年より来場者が増えたのは良かった」と笑顔を見せた。

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により、約7000人の全町民が全国に避難している双葉町では、盆踊り大会も県内外7カ所で開催されている。その中で、双葉町役場が置かれているいわき市では、2012年から2017年までは南台応急仮設住宅(いわき市南台)で、昨年からは復興公営住宅の勿来酒井団地で盆踊り大会が開催されている。

 3年前には、震災前に町で開催していた、行政区ごとに盆唄を交代で演奏する「櫓の共演」が復活し、その様子は、中江裕司さんが監督をつとめた双葉町のドキュメンタリー映画「盆唄」(2019年)にも描かれた。同作に出演し、創作太鼓チーム「標葉(しねは)せんだん太鼓保存会」会長の横山久勝さんは、盆踊りへの参加者が増えていることに際し、「(震災から8年以上がたち)町民の盆踊りへの思いが強くなってきたのでは」と話す。福島県本宮市に避難する横山さんは同会の仲間と共に、双葉町民の避難する全国各地で太鼓をたたいている。「不思議と疲れや痛みを感じない。太鼓の魔力だと思う」と静かに語る。

 同団地で双葉町民が広く集まる行事は年2回。来年1月には、双葉町の伝統行事「ダルマ市」が開催される予定。

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