昨年4月に新工房をオープンした大堀相馬焼「陶吉郎窯(とうきちろうがま)」(いわき市四倉町細谷水俣)で8月9日、企画展「涼を彩る器たち」が始まった。窯元の近藤学さん、賢さん親子の陶芸作品のほか、夏の酒に合うガラスや色陶磁器も併せて展示・販売している。
陶吉郎窯は、福島県浪江町の伝統的工芸品「大堀相馬焼」の窯元の一つ。大堀相馬焼は江戸時代から約330年続く伝統工芸だったが、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で産地である浪江町大堀地区が帰還困難区域となり、現在も窯元らは県内外各地に避難を余儀なくされている。近藤さん親子は、いわき市に避難し、2011年6月から創作を再開。2018年には同市四倉町に新工房とギャラリーを構えた。
企画展は昨年秋に続き2回目。より多くの人に足を運んでもらい、気に入った器を見つけてほしいと、親交のある北海道、山形、長野の作家の作品を併せて展示・販売している。
今回の企画展のために、近藤賢さんは新作のデザイン2種(タンブラー、カップ)、5色をそろえた。作品は全て一点物で、大きさや色の風合いが少しずつ異なる。陶器の器は、ビールを注ぐときに触れる表面が少しざらついていることにより、泡が立ちやすく、泡持ちも良いという。1万円以上購入すると、福島県田村市産「ホップジャパン」のクラフトビール1本を進呈。賢さんは「器もノベルティーも、自分が気に入った福島産のものにこだわったが、何より自分の気に入った器で飲むのが一番おいしいと思う。普段並ばない作品もそろえたので、気に入った器を求めて、それで飲んでもらえたら」と呼び掛ける。
営業時間は10時~18時。期間中は無休で営業。25日には、陶吉郎窯特製タンブラーで、クラフトビールを味わう即売会も開く。今月26日まで。