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柳美里さんの演劇ユニット「青春五月党」、南相馬で復活公演 地元高校生ら出演

「静物画」では、Aチーム(女子のみ)、Bチーム(男子のみ)が同じ物語を演じる

「静物画」では、Aチーム(女子のみ)、Bチーム(男子のみ)が同じ物語を演じる

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 2015年に神奈川県鎌倉市から福島県南相馬市に移住した芥川賞作家・柳美里(ゆう・みり)さんが、1987年に立ち上げた自身の演劇ユニット「青春五月党」の23年ぶりの復活公演「静物画」を、同市小高区内にある自宅兼書店「フルハウス」に併設した劇場「La MaMa ODAKA」(南相馬市小高区東町1)で上演する。出演は、福島県立ふたば未来学園高校(双葉郡広野町)演劇部。9月14日~17日に計6公演を行う。

「静物画」チラシ

 柳さんは東日本大震災後の2012年3月から、南相馬市臨時災害放送局「南相馬ひばりFM」(2018年3月で閉局)で番組を担当したことをきっかけに同市に移住。今年4月に自宅を改装し、本屋「フルハウス」をオープンした。今回の復活公演の会場となるのは、「フルハウス」に併設した小劇場「La MaMA ODAKA」で、元々倉庫だった場所をリノベーションしたもの。客席は74席。福島第一原発事故後に避難指示区域となり、2年前に避難指示が解除された小高区には、いまだ戻る市民が少ない。震災前にはなかった本屋と小劇場をつくり、芸術・文化を小高にもたらすことで、交流人口の拡大と地域のつながりを生み出す狙いがある。

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 同公演は、フルハウスにふたば未来学園高校の生徒が訪れたことから縁ができ実現。柳さんは7月末から同高に通い、演劇部の生徒と丁寧に対話を重ね、自身が21歳の時に書いた戯曲「静物画」を、彼らに当て書きして書き直した。新たな脚本は震災当時、小学生だった生徒たちの記憶が鮮やかに反映されたものとなった。23年ぶりとなる復活公演の演目に「静物画」を選んだのは「一番『青春五月党』らしい作品だから」という。

 作品の舞台は、リンゴの花の咲く時期、高校の文芸部の教室。女子だけ、男子だけの部活で繰り広げられる「授業ごっこ」を通し、生徒たちの思春期特有の心模様があらわになり、震災当時の記憶も語られていく。公演では、Aチーム(女子のみ)、Bチーム(男子のみ)が交互に演じる。ストーリーは同じだが、セリフの一部が異なる。柳さんは「同じ物語でありながら全く違う世界観なので、ぜひ2チーム共見てほしい」と呼び掛ける。

 「高校生たちに本物の演劇を体験してほしい」と舞台制作にもこだわった。平田オリザさんの「青年団」の舞台美術を行う杉山至さんが美術アドバイザーを務め、震災後、南相馬市に移り住んで活動した華道家・片桐功敦(あつのぶ)さんの花が舞台を彩る。照明は、「東京キッドブラザース」などの舞台照明を数多く手掛けてきた照明家の海藤春樹さんが担当する。

 公演時間は、14日・17日=17時30分開場・18時開演、15日・16日=14時開場・14時30分開演と17時30分開場・18時開演の昼夜2回公演。Aチーム(女子)の公演は、14日18時、15日18時、16日14時30分、Bチーム(男子)の公演は、15日14時30分、16日18時、17日18時。上演時間は70分を予定しており、演出の効果上、開演時間を過ぎてからの入場、途中退場はできない。

 前売3000円、当日3500円、高校生以下1000円。チケットは、チケットぴあとフルハウス店頭で扱っている。