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福島県広野町で「廃炉フォーラム」 地元学生が考える廃炉とは

廃炉国際フォーラムで意見を交わす学生ら(写真提供:服部美咲氏)

廃炉国際フォーラムで意見を交わす学生ら(写真提供:服部美咲氏)

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 福島県双葉郡広野町といわき市で開催された「第2回福島第一廃炉国際フォーラム」で、地元学生や住民らが福島第一原発の廃炉に関わる第一線の技術者たちと意見を交わした。昨年に続き2回目の開催で、主催は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構。

第2回福島第一廃炉国際フォーラムチラシ

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 「福島第一原発に一番近い高校なのに、学校で廃炉のことを教わる機会がないので参加した」と話すのは、フォーラム開催地の広野町(原発からの距離約20~30キロ、2012年に避難指示解除済み)に2015年に開校した福島県立ふたば未来学園高校の生徒。同校のほか、磐城高校、福島工業高等専門学校(以上、いわき市)、福島高校、福島大学(以上、福島市)の生徒を含む地元住民、関係者ら約470人が参加した。

 7月2日に広野町で行われたフォーラムでは、福島大学客員研究員で社会学者の開沼博さんを進行役に、「地元の皆さんと考える1F(福島第一原発)廃炉」として「『何がわからないかが分からない』を解決する」をテーマに進められた。事前に地元住民や有識者からリサーチして抽出した廃炉に関する20の質問から、特に優先度が高いと思われるものを当日参加者の意見をもとに選び、ステージに登壇した学生や地元住民と、東京電力、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の技術者、経済産業省担当者、経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA) 事務局長らが直接意見を交わすという手法が取られた。

 学生からは、「若い世代はどのように廃炉に関わっていけばいいか」「(一方的な)説明だけでは足りない。双方向で意見を交わす場が必要」、地元住民からは「データより地元にどんな影響があるのかが一番に知りたいところ」「また有事となった際、どこで情報を収集すればよいかが分からない」「海外に対する情報発信が足りていない」など本音の意見を、公開で技術者にぶつける場となった。技術者側からは「緊急時には即時に東京電力のホームページに情報を掲載するなど情報公開に努めているが、まだまだ分かりやすさが足りていないと痛感」「若い世代には、廃炉の意義、従事する労働者の環境整備などを理解いただき、学校や身近なところから伝えてほしい」「とにかく時間をかけて対話し続けていく」などの回答があった。

 フォーラムに登壇した福島大学の木村元哉さん(広野町出身)は「全ての疑問が解決したわけではなくまだモヤモヤしている部分もあるが、それが廃炉という問題の特質でもある。今までは説明や視察だけで終わってしまっていたことが、対話という形になったことは良かった。ここで議論されたことが今後どのように情報発信されていくか関心を持ち続けたい」と話した。

 同フォーラムは、来年は双葉郡楢葉町で開催の予定。長く続く廃炉の問題を住民と共に対話を続けていく考えだ。

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