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青春五月党復活公演第2弾「町の形見」 柳美里さんと南相馬市民のコラボ

青春五月党復活公演vol.2「町の形見」出演者

青春五月党復活公演vol.2「町の形見」出演者

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 芥川賞作家の柳美里さんが23年ぶりに再始動した自身の演劇ユニット「青春五月党」の復活公演第2弾「町の形見」が10月15日から、南相馬市小高区の「La MaMa ODAKA」(南相馬市小高区東町1)で上演される。同作品は、2015年に神奈川県鎌倉市から福島県南相馬市に移住した柳さんが書き下ろした新作。出演するのは、同市で生まれ育った70代の男女8人。彼らの記憶を、同じ舞台上でプロの役者たちが演じる。

「町の形見」チラシ

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 南相馬市小高区は東日本大震災の直後の2011年4月、全域が警戒区域に指定された。2016年7月に避難指示が解除されたが、町に戻った住民は約2900人(2018年8月末現在)で、元の住民の22%ほど。柳さんは今年4月、同区の自宅を改装して本屋「フルハウス」を、9月には自身の演劇ユニット「青春五月党」を再始動し、震災前には無かった、文化による、地域住民の交流や関係人口の促進を進めている。

 今回の公演は、同市で生まれ育った70代の男女8人の、震災時とそれまでの人生体験の記憶を舞台上に再現する。本人たちと役者が交互に記憶の情景を演じることで、語り部でもない、ドキュメンタリーでもない演劇世界となっている。出演する地元市民8人は、柳さんがパーソナリティーを担当していたラジオ番組にゲストで出演していた人々で、演劇体験のある人4人、全盲の人2人と、さまざまな背景を持つ人たちだ。その地元市民たちの記憶を演じるのは、柳さんとゆかりのある、劇作家・平田オリザさんや前田司郎さんの推薦で、「青年団」をはじめとする東京で活動する役者。この公演のため同市に住み込み、地元の人と話し、地元の人の記憶の場所に足を運ぶなど、役作りを続けているという。

 柳さんは同作品について、「生あるうちに大切な記憶に別れの言葉を述べ、懇ろに弔いたいと思う。『町の形見』は記憶のお葬式」と話す。出演者の年齢や作品の性格から、「再演ができない作品なので、ぜひ見に来てほしい」とも。

 今月15日から19日までは17時30分開場・18時開演、20日は14時開場・14時30分開演。20日のみアフタートークあり。上演は2時間10分を予定。前売り=3,000円、高校生以下=1,000円、当日=3,500円。ヘルパー同伴の場合は2人で3,000円。チケットは、チケットぴあ(Pコード489-372)、JR小高駅前の東町エンガワ商店で販売。

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