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ふるさと双葉の景色を映像で残したい 双葉郡楢葉町出身、映像作家の挑戦

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ふるさと双葉の景色を映像で残したい 双葉郡楢葉町出身、映像作家の挑戦

双葉郡富岡町で、ドローンで撮影する松本さん

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 日々変わっていくふるさとの景色を映像で残したい、残さなければ――双葉郡楢葉町出身の松本淳(あつし)さん(36)の思いだ。

家の周辺にドローンを飛ばし、家屋とその周辺の景色を撮影する

 3月11日で東日本大震災から6年を迎える。福島第一原発事故でいまだに避難生活が続く双葉郡では、今月末から4月1日にかけて、浪江町と富岡町が一部帰還困難地域を除き避難指示が解除されるのに伴い、そのままでは住むことのできない家屋や店舗の解体作業が急ピッチで進められている。一方、「帰還困難区域」と指定された地域では、今でも町の許可が無ければ住民でも立ち入ることができず、震度6強の地震が起こったあの日のまま、崩れそうな家屋や神社などの町並みがそのまま残されている。

 6年前、松本さんの楢葉町の自宅は津波で流された。大学時代に実家を離れていたこともあり、同町の家屋、そして町並みは松本さんにとってふるさとそのものだった。その全てが一瞬にして失われた。

 実家を失ったことで、自身がいかにふるさとである双葉郡に思いが強かったかを実感した。戻る度に、家屋の解体や除染土の搬入などで変わっていくふるさとの町並み。実家を失ったからこそ、「何とかして今残っているふるさとの景色を残せないものか」と強く思った。そんな時に出合ったのが「ドローン」だった。

 「ドローンはただの道具。その場所に住んでいた人の目になって、一緒に飛ばしている」という松本さん。撮影するのは主に解体予定の双葉郡の民家だ。「自分の家は楢葉町だったが、遊びに行ったり友達が住んでいたり、ほかの双葉郡の町にも思い出が詰まっている。撮影するのはもちろん家の持ち主のためということが一番ではあるが、自分のためでもあるかもしれない」と思いをはせる。

 ドローンで少し離れた上空から撮影することで、6年たって傷んだ家でもきれいな映像として残すことができることに最近気が付いた。「荒れていく家や町を見たくないから、町に戻りたくないという双葉郡の住民は多くいる。そんな人たちにこそ、ドローンできれいに撮影した、心の中の思い出の景色に近い、今の双葉郡を届けたい」。

 もともと音楽が趣味で、作曲もしていた。動画に関しても、ただ被写体をリアルに写すのではなく、その家の住民が、どの角度、どの風景を切り取れば喜んでもらえるかを常に考えながら、感性を研ぎ澄ます。「自分がいいなと思って納得して撮影し、『心のふるさと』と思ってもらえるような作品として完成させた動画でなければ、依頼主に渡すことはできない」と、こだわりを見せる。

 だがその思いを伝えるのは難しく、費用の負担をしてまで撮影を依頼する住民は少ないという。そうであれば、費用は自身で負担し、可能な限り無料に近い状態で撮影したデータを提供しようと、クラウドファンディングに挑戦、撮影にかかる経費80万円の資金調達を目指している。「資金を集めるだけでなく、今自分がしようとしていることが本当に必要なことなのか、それをはっきり確認しようと思って挑戦している」と意気込みを見せる。

 ただ、相手の心情を考えると積極的にアピールできないこともある。「私自身も何年も、津波の映像を見るだけで具合が悪くなるようなことが続いた。『家が解体される前に撮影しましょう』と簡単には言えない」。

 だが、思いは固い。「映像として残したふるさとを客観的に見ることで、私自身は心に区切りがついた部分もあった。それを望んでいる人はほかにもきっといるはず。この挑戦を通じて伝えたいことは、資金調達はもちろんだが、この活動を一人でも多くの人に知ってもらうこと。自分の家は流されてしまったが、まだ家が残っていて、自分の技術が必要な人の下で、大事なふるさとを残す手伝いがしたい」と意欲を見せる。

 クラウドファンディングの内容は「レディーフォー(松本淳)」で確認できる。3月24日まで。

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