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東北の叫び「まつろわぬ民」いわき公演 大胆な演出と濃密な音楽の共演

「まつろわぬ民2017」東京公演の様子(撮影:添田康平)

「まつろわぬ民2017」東京公演の様子(撮影:添田康平)

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 いわき芸術文化交流館アリオス(いわき市平字三崎1)で6月10日・11日、風煉(ふうれん)ダンス「まつろわぬ民2017」が上演される。2014年に東北をテーマに作られた演劇作品「まつろわぬ民」が2017年版として生まれ変わり、東京・福島・山形で再演を果たす。

「まつろわぬ民2017」東京公演の様子(撮影:添田康平)

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 大胆な舞台美術や衣装、「濃密な」物語、音楽が一体となり、観客を魅了する演劇集団「風煉ダンス」。今回は、アジアを中心に世界各国のサウンドと芸能の要素を取り入れた音楽集団として一世を風靡(ふうび)した「上々颱風(シャンシャンタイフーン)」の白崎映美さんを主演に迎え、松尾スズキ主宰「大人計画」などの舞台音楽も担当している、音楽家・伊藤ヨタロウさんをはじめ、個性豊かな俳優が出演する。

 「まつろわぬ民」とは「あらがい迎合しない民」を意味し、かつて大和朝廷から「蝦夷(えみし)」と呼ばれ、権力を拡大しようとする朝廷に従わず闘った東北の人々を指す。舞台は一軒のゴミ屋敷。白崎さんが演じる屋敷の老婆は、家に大量のゴミを持ち帰り、近所の住民から苦情を受けていた。行政によるゴミの撤去が行われようとしたその時、ゴミに「まつろわぬ民」の魂が宿り、大暴れを始める。老婆とゴミたちの闘いは、かつて大和朝廷と闘ったころの記憶と重なり合い、現在と過去が交錯する壮大な物語へと発展していく。

 青森県八戸市出身の作家・木村友祐さんが書いた小説「イサの氾濫」に感銘を受けた白崎さんが、「まづろわぬ民」という曲を生み出し、その音楽に着想を得て「風煉ダンス」がこの演劇作品を作り上げたという。白崎さん自身も山形県酒田市の出身。東日本大震災で大きな被害を受け、故郷の東北はその後も苦しみ続けている。2014年の初演から3年がたち、東日本大震災以降、自身の歌声で被災地に元気を分け与えていた白崎さんも、実際に現地で受け取ったさまざまな思いを込め、新たな気持ちで舞台に立つ。白崎さんは公演に当たり、稽古に入る前にいわき市を訪れ、地域の人たちにも話を聞いた。

 5月26日~6月4日には、東京・高円寺で公演が行われた。アリオス企画制作課の萩原宏紀さんは「今まで見たことがない、迫力と衝撃の演劇。東北人の魂に訴えかける、まつろわぬ民たちの叫びを、ぜひ、いわきで体感してほしい」と来場を呼び掛ける。

 10日=17時30分開場・18時開演、11日=12時30分開場・13時開演。チケットは全席自由で、一般=3,000円、高校生以下=1,000円。未就学児以下は入場できない。

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