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伝統食を「食べて」「伝える」 いわきで雑煮づくりワークショップ

雑煮づくりを楽しむ参加者たち

雑煮づくりを楽しむ参加者たち

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 いわき東部ガス「エコア」(いわき市平字佃町)で12月18日、「スキマチイワキ お雑煮自慢大会&レシピカードづくりワークショップ」が開催され、30~60代の幅広い年齢層の男女25人が参加した。いわき芸術文化交流館アリオスとFMいわきの共催。

参加者が再現したお雑煮(上段左から「久之浜」、「小川」、下段左から「田人」、「豊間」)

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 ワークショップは2週連続企画の2回目。スキマチイワキでは、東京23区2個分という広大な面積を持ついわき市で、海側・山側で雑煮の出汁(だし)も具も大きく違うことに着目。地域の伝統を残すことにもつながると昨年に引き続き開催された。

 今年訪れた地域は、いわき市の中でも津波被害の大きかった同市最北部海側に位置する「久之浜」、同じく中心部海側の「豊間」、北部山間部の「小川」、南部山間部の「田人」の4地区。参加者は各地区を訪れ、地域の人々にその地域に伝わる雑煮の味を習い、イベント当日は前週に参加できなかった参加者も加わり、習ってきたレシピを一緒に再現した。

 漁師の町である久之浜では、売りに出さない小さな魚を雑煮に入れる習慣があり、今回は3日間天日干ししたフグを入れた。同じ漁師町でも、豊間では、具はニンジンと里芋のみというシンプルなもの。山の町小川では、自宅の庭で取れた太くて甘いネギや泥付きの里芋をむいてそのまま煮込むなど具だくさん。南部の山間部、田人でも同じく近隣の畑で採れた野菜をふんだんに使いながら、鶏は身と皮を刻んで入れるなどのこだわりがあり。雑煮に入れる餅も、各地区の家庭でついたものを持ち寄り、出汁には「いわきしょうゆ」を使うなど、随所に地元の食材を最大限に生かそうという参加者と主催者の思いが垣間見られた。

 試食では、「自分の家以外の雑煮はなかなか食べられないので新鮮」「実家に戻っていつも食べていたけど、実は作り方を知らなかった」「魚の出汁が利いていて新鮮」など、思い思いの感想を口にしながら完食。

 同プロジェクトのアドバイザー、美術家の藤浩志(ふじ・ひろし)さんは「食べ物のワークショップはみんなを笑顔にするからいい。震災を機に無くなってしまうかもしれないものが多い中、雑煮という伝統食に目を付けたのも良かった。参加者と主催者が家族のような関係を築けている」と目を細める。

 試食後は、雑煮のレシピと現地で聞いてきた「正月の過ごし方」などのエピソードをアルバムにするワークショップが行われ、前週に撮影したポラロイド写真を使いながら、各地区の「お雑煮アルバム」を仕上げた。

 参加者の一人で、今回のワークショップのために自宅を提供し雑煮づくりを指導した小川地区の小松ひふみさんは「教えることってなかなかないけれど、とにかくとても楽しかった。偶然主人の中学時代の同級生が来てくれたり、思いがけない再会があったりしたほか、娘にもあらためて我が家の味を伝えられて良かった」と振り返った。

 次回のスキマチイワキのイベントは3月、今回のワークショップの訪問先の一つでもあった、いわき市小川地区で開催予定。詳細はホームページで確認できる。

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