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柳美里さんの「本屋フルハウス」、ブックカフェを増床 「第2の小高駅待合室に」

本屋フルハウスのブックカフェクラウドファンディングメインビジュアル(写真:鈴木穣蔵、デザイン:小笠原香織)

本屋フルハウスのブックカフェクラウドファンディングメインビジュアル(写真:鈴木穣蔵、デザイン:小笠原香織)

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 2015年に神奈川県鎌倉市から南相馬市小高区に移住し、同区内の自宅で「本屋フルハウス」を経営する芥川賞作家の柳美里さんが敷地内にブックカフェを増床する。

フルハウス店内の様子

 フルハウスは昨年4月に開店。柳さんと作家や演劇関係などの友人24人が選んだ本だけを販売することが話題を呼んでいる。同区に元々あった、文化や歴史を大切に思う気持ちに寄り添い、原発事故による避難から帰還した住民や同区へ通う学生たちの居場所に、と開いた同店は、地元住民だけでなく、本屋の無い隣接する双葉郡や東北各地からも客が訪れている。南相馬市を被災地訪問やボランティアで訪れる人たちの訪問先の一つにもなっており、週末には100冊以上の本を販売する日も。

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 自宅の一部を改装したため10坪と非常に狭く、10人も入れば満員となってしまう店内。本屋としての機能だけでなく、訪れる人たち同士が交流できるスペースを確保するため、5月8日から店の前の駐車場にブックカフェを増床する改修工事が行われる。9月末まで、フルハウスは休業中。柳さんは同店開店の際、最寄り駅のJR常磐線の小高駅を使って通学する学生たちが、1時間に1本の電車待ちをする間の居場所に、との思いも込めており、増床するブックカフェは「第2の小高駅待合室のような場所にできたら」と構想する。

 ブックカフェの設計には、「建築界のノーベル賞」とも言われるプリツカー賞受賞の建築家・坂茂(ばんしげる)さんがボランティアで協力。坂さんは震災後、同じく被災地である宮城県の女川駅の設計なども手掛ける。

 増床に当たり、クラウドファンディングサイト「モーションギャラリー」で資金を募っている。「地元の人に愛される、地元の人や協力してくれた人たちが、自分の居場所と思えるブックカフェにしたい。ぜひ『協働者』になってほしい」と柳さん。協力者へのリターンには、サイン入り著書のほか、柳さんが選書した書籍のセット、柳さんが昨年23年ぶりに復活させた自身の演劇ユニット「青春五月党」の戯曲を使った演劇ワークショップへの参加権、オリジナル冊子へのスポンサー名掲載などを用意している。募集期限は6月28日23時59分。目標金額は1,700万円(5月11日現在、達成率12%)。

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