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楢葉町の居酒屋が総菜店として再オープン イートイン・定期配達サービスも

総菜のショーケースの前に立つ古谷さん

総菜のショーケースの前に立つ古谷さん

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 休業していた福島県楢葉町の居酒屋「結のはじまり」(楢葉町山田岡小堤)が6月16日、総菜店「発酵魔女の惣菜キッチン 結(ゆい)」として再オープンした。場所は変わらず、居酒屋から「発酵総菜」をメインとしたテークアウトとイートインの業態へ変更。これまで通り、アルコールの提供も行うほか、総菜の定期配達サービスも始めた。

店舗と定期配達で提供される発酵総菜

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 リニューアルした店内は、バーカウンターだった場所に総菜ケースを2台設置。10種類ほどの日替わりの総菜(唐揚げ、角煮などのメイン総菜540円~、漬物、サラダなどの副菜160円~)をそろえる。発酵総菜と地元産の農産物にこだわり、「地元野菜と発酵調理の力で、忙しい町の人に健康的な食事を提供したい」と意気込む。テーブル席4席、カウンター席4席を設け、好みの総菜とご飯、みそ汁を組み合わせた夜定食(1000円~)としてイートインも可能。アルコール(生ビール700円、地酒1合1000円~)も提供する。

 同店は、千葉県出身の店主・古谷かおりさんが2017(平成29)年9月、地元住民と町内に住む、復興事業に従事する作業員たちとの交流の場を目指しオープンした。町民と地域で働く人、同町を訪れる人たちの憩いの場として営業していたが、2020(令和2)年4月の新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態宣言発令後は、休業と条件付きの営業を繰り返すことを余儀なくされ、9月に休業を決意。営業再開の方法を探っていた。

 再開前の2021(令和3)年2月、発酵総菜のデリバリーサービス「結DELI(デリ)」を開始。毎月定額で週に2回、自宅まで総菜を届ける。店の常連客には単身赴任などで同町に滞在している人も多く、夕食を兼ねて同店を利用する人も多かった。休業中、常連客の食生活をヒアリングしたところ、想像以上に偏った食事を取っていることが分かったという。同サービスでは発酵総菜をメインに、利用者の食材の好みやアレルギーなどを丁寧に聞き取り、メニューのリクエストも受け付けるセミオーダー制。ヒアリングと広報を担当したインターンの中窪千乃さんは「コンビニを多用していたり、食事の選択肢(飲食店やメニューの数)が少なかったり、宿舎のキッチンが狭かったりなどさまざまな理由で健康的な食事を家で取れていないことが分かったため、結DELIを通して少しでも双葉郡で働く人たちの健康をサポートできたら」とサービスの意義を話す。

 発酵総菜にこだわるのは、地域に根付く漬物文化に引かれ研究している古谷さんの「健康に良いものを提供したい」と「伝統食を現代にマッチした形で未来につなぎたい」という思いから。店で提供することで、ヒアリングから得た、地域に暮らす人たちの「地元食材を使った料理を食べたい」「料理は時短したい」というニーズにも応えていきたいという。「居酒屋という形ではなくなったが、交流の場という思いは変わっていない。テークアウトとイートイン、デリバリーで、地元の人たちの生活スタイルに合わせた営業を模索していきたい」と笑顔を見せる。

 店舗営業は水曜~金曜の15時~21時。結DELIは1カ月16食提供で月額1万7280円。6月現在の配達可能地域は、広野町、楢葉町、富岡町の一部。

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