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福島県双葉郡でSDGsイベント 地域活動団体、ミス・ワールド日本代表などが参加

FUTABA・SDGsダイアローグ2021 ~コロナに負けん!はじめっぺSDGs~の参加者

FUTABA・SDGsダイアローグ2021 ~コロナに負けん!はじめっぺSDGs~の参加者

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 国連が定める「環境の日」である6月5日に「FUTABA・SDGsダイアローグ2021 ~コロナに負けん!はじめっぺSDGs~」が、ホテル蓬人館(双葉郡富岡町小浜44)で開催された。開催場所である双葉郡をはじめ、福島県内でSDGsを推進する団体・企業12団体と、美に集まる力を社会貢献に活かすことを目的とした「ミス・ワールド」の日本代表が活動の発表や意見交換を交わした。

とみおかワインドメーヌのワイン用ブドウ畑

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 同イベントは、双葉郡が原子力災害という大きな課題を抱えながらも、SDGsの理念である循環型社会を実現しうる潜在能力を秘めていると考えた、同郡の中間支援団体「ふたすけ」が企画。地域で各々、SDGsにつながる、魅力ある活動をする団体、プレーヤーがつながるきっかけを作ることを目指した。

 参加した団体の一つ、双葉郡富岡町で栽培されたぶどうでワインづくりを進める「とみおかワインドメーヌ」の遠藤秀文さんは、「仲間10人が避難先から通いながら始めた活動に、今は毎回大勢の人が集まってくれるのは『一旦ゼロになった地域をどう作っていくか』という理念に共感してくれているから」と話し、「震災後、次世代に景観や産業を残そうと始めた活動が、自然とSDGsのゴールに結びついていた」と笑顔で語った。

 いわき市からスタートし、福島県浜通り(沿岸部)全体へと活動の場を広げている「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」代表の吉田恵美子さんは「震災ボランティアとして支援に来た人たちが、地元の人たちと農作業をともに行い、その楽しさや被災した人たちの力強さにひかれ仲間になってくれた」という経緯や、原発事故の影響を受け、双葉郡からいわき市に避難してきた人が、地元の人たちとともに農作業をすることで地域の分断の解消になったことにも触れた。また「オーガニックコットン」の栽培は、環境に負荷をかけず、地域環境をもう一度元気にするという理念のもと行っており、昨年には収穫されたコットンの商品化、販売を行う別会社も設立され、持続可能な活動に向けた動きも進んでいるという。

 「ミス・ワールド2020」日本代表で、アーティスト・モデルの金谷鞠杏(かねや・まりあ)さん(秋田県出身)は、同イベントで初めて福島に足を運んだ。インターネットやSNSで触れるのとは全く違う福島の魅力を感じたといい、「同じ東北出身の若者として、自分が見て、感じた福島を発信していきたい」と話すとともに、SNS上の福島に対する風評被害の現状や、自身もSNSで誹謗中傷を受けた経験から「SNSに依存せず『自分の言葉』で発信していくことの大切さを、震災で傷ついた若者たちにも伝えていきたい」と力を込めた。

 双葉郡内では、大熊町と浪江町が「ゼロカーボンシティ宣言」をしており、今後の動きが注目される。モデレーターの齋藤裕喜さん(福島環境研究開発)は、「世界的には『福島』といえば原発事故というイメージが未だに色濃い中、SDGs推進地域としての発信をどのようにしていけるかが大事」と締めくくった。

 同イベントは、新型コロナウイルス感染予防の観点から、会場参加は20人に限定し、オンラインで同時配信を行った。

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