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福島県Jヴィレッジから聖火リレースタート 福島の「今」の姿を発信

双葉駅前でトーチリレーをした、第一走者、声優・女優の桜庭梨那さんと、第二走者、双葉町役場勤務の井戸川俊さん(ともに、双葉町出身)。

双葉駅前でトーチリレーをした、第一走者、声優・女優の桜庭梨那さんと、第二走者、双葉町役場勤務の井戸川俊さん(ともに、双葉町出身)。

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 3月25日、福島県楢葉町のサッカーナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」で、東京2020オリンピックの聖火リレーがスタートした。初日は、Jヴィレッジから、東京電力福島第一原発事故により、未だ帰還困難区域を抱える、富岡町、双葉町、大熊町、浪江町、葛尾村を含む双葉郡8町村と、いわき市、南相馬市(同市にも帰還困難区域が残る)をつないだ。

Jヴィレッジ駅前を走る聖火ランナー

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 2020(令和2)年3月4日に、特定復興再生拠点として駅周辺の避難指示が解除されたことにより、聖火リレーのコースに加えられた双葉町では、双葉駅前を3人の町出身の聖火ランナーが走った。県内で唯一、帰還が始まっていない双葉町にはまだ住民が暮らすことができないが、笑顔で走るランナーたちと、避難先から応援に駆け付けた町民からは、故郷への強い思いが感じられた。聖火リレーを力強くサポートした、地元の創作太鼓団体「標葉せんだん太鼓保存会」のメンバーは、「私たちは生まれ故郷の双葉町で演奏できることがベースだった。今回双葉駅前で、こんなに多くの人の前で演奏できて、(帰還が始まっていなくても)純粋にうれしく思った」と話した。

 スタート地点のJヴィレッジでは、関係者のみで開会セレモニーが行われた。聖火リレー公式アンバサダーの、サンドイッチマンの伊達みきおさんは、「被災地のきれいになっているところはもちろん、まだ立ち入りができない場所も素直に見てほしい」とメッセージを伝えた。2021年3月現在、県内で避難指示が出されているのは県土の2.4%。聖火リレーのルートについて、原発事故による避難指示が解除された場所と帰還困難区域を隔てるバリケードが設置されている地区や、津波被災のあった沿岸部などが含まれないことで、「復興の現状が伝わらない」と思いを吐露する住民がいる一方、「福島の前向きな姿を発信したい」と、自主的にコースを清掃したり、ミニセレブレーション会場で伝統芸能やフラを披露するなど歓迎ムードも広がっており、コロナウイルス感染防止対策を行った沿道や会場は住民らの応援でにぎわいを見せた。

 聖火リレーは、26、27日も福島県で行われ、7月23日の東京まで、121日間をかけて日本全国を回る。

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